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令和3年10月度部会を開催しました

開催日:令和3年10月19日

会 場:インターネットライブ

 

 10月19日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/佐藤正夫代表理事・会長)は、令和3年10月度の部会・理事会を開催した。今回の部会・理事会も感染症対策のため全面web方式での開催となった。
 部会では中小企業診断士で株式会社遊技通信社代表取締役の伊藤實啓氏から「新型コロナ禍の社会変化と遊技業界への提案」との演題で講演を傾聴した。また、会員等プレゼンテーションとして、株式会社加藤商会から遊技台サイズのタブレットPC「パチネージ・スロネージ」、PMS合同会社からパチンコ経営シミュレーションゲーム「PMSG」の製品・サービス紹介が行われた。

 

会員等プレゼンテーション

 株式会社加藤商会の柴田健蔵営業部長から「パチネージ・スロネージ」の製品紹介があった。本製品は遊技機と同じサイズのタブレットPCで主に店舗内のデジタルサイネージとして活用するもの。単にデジタルサイネージとして来場者にインフォメーションを発信するといった利用方法以外にも、タブレットPCとして遊技客が任意に内蔵アプリを使用して各種情報の取得やコンテンツを楽しむことができる。告知媒体の側面を備えながら本製品の特徴であるPCとしての利用方法は導入店のアイデアが活きる部分であり、他店との差別化にも有用な製品だとの紹介があった。
 PMS合同会社の奥本治代表からパチンコ経営シミュレーションゲーム「PSMG」が紹介された。本ゲームはパチンコホール経営に特化した経営シミュレーションを4人1組で行うボード型ゲーム。ゲーム全体から「P(Plan:計画)・D(Do:実行)・C(Check:検証)・A(Act:改善)」のPDCAサイクルを学びつつ、「O(Observe:観察)・O(Orient:状況判断)・D(Decide:意思決定)・A(Act:行動)」のOODA(ウーダ)ループが鍛えられるのが特徴となっている。ゲームでは遊技台管理はもちろん人材育成、資金調達、リスク管理、情報収集といった現実の店舗経営で起こる様々なシーンを対応していくことになる。経営者や幹部向けの内容となっている。

 

講演 新型コロナ禍の社会変化と遊技業界への提案
講師 株式会社遊技通信社 代表取締役 伊藤實啓 氏

 株式会社遊技通信社の伊藤實啓代表取締役から「新型コロナ禍の社会変化と遊技業界への提案」と題した講演が行われた。中小企業診断士としても活躍する伊藤氏は本講演において、コロナ禍がもたらした社会変化を俯瞰しつつ、遊技業界に求められるイノベーションを考察し、変革への対応を促した。
 講演では冒頭に時代毎の消費行動と産業革命の変遷を簡潔に振り返った。消費行動においては個人の嗜好に合わせた能動的かつ限定的で、価値観を同じくする者同士がそれを共有するといった「トキ消費」が消費動機として台頭する時代となっている。産業界はデジタル革新によりデータの価値が急速に高まり、ビッグデータやIoT技術の発達で「モノの自動化」を図っていく第4次産業革命が起こっている、と話があった。
そしてコロナ禍において行動様式が「非接触型・非対面型への転換」を迎え、デジタル技術による構造改革(DX=デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる。接触型、対面型で行ってきたあらゆる生活様式、企業活動等のシーンをデジタル技術で補っていく在り方に進んでいると解説。ただしDXの真価は「単にデジタル技術に置き換えるのではなく、ガラッと変革をもたらすことにある」と述べ、企業が描く「なりたい姿」の実現に向けて現状とのギャップを如何に埋めていくのかが重要であり、なりたい姿を描けない企業にはDXによる真価は得られないだろう、と指摘した。
 他方、企業や市民が取り組むSDGsが世界規模で注目されている背景に触れ、国内では近江商人の代名詞とも呼べる「三方よし」の理念がSDGsに通じる身近な言葉だとして、売り手・買い手・世間の三方良しを遊技業界に置き換えて、地域社会や世間を意識した企業活動の重要性をわかりやすく解説した。
 社会動向の話題から遊技業界に話を転じ、消費行動同様、近年の遊技業界におけるライフサイクルの変遷を同質化競争から差別化やニッチを着目する営業の多様化が進んだ点や、それにともない経営資源も量より質を重視する在り方へと変革して来たと分析。業界内での変革は、社会の消費行動や産業改革と同様に起こって来たと分析。遊技機のイノベーションについても、時間の経過にともない性能も進化し、過去と比べてハイクオリティーでハイコストな遊技機が登場しているが、エンドユーザーが求めている範囲内でのイノベーションであることが肝要で、誰もついて来れないレベルのイノベーションは持続性を損なうものだと、他産業の製品を例に挙げて説明した。
 次に遊技場経営に関してもコロナ禍による感染症への懸念や可処分所得の減少によるユーザー数の減少が今後も続く見通しがあり、企業は収益減少にともなう債務の問題や新規則機導入による収益力の低下や優勝劣敗による市場規模の縮小、寡占化の加速も予想されることに加え、曖昧を許容しない社会性の強まりによってグレーゾーンの消失も業界全体が抱える大きな課題であると話があった。
 遊技場の未来像を模索する上で、重要な視点として(1)遊技を「誰に何をどのように提供するのか」という、あるべき姿を描くこと、(2)業態の部分的デジタル化、(3)賞品流通問題、(4)遊技機の問題、(5)社会ニーズ(SDGsなど)への取り組み、の以上5点を包括的に改善することが求められるのではないかと語った。
 ビジネスモデルの変革という点において、遊技業界と類似点が多い競輪業界では、競輪から「ケイリン」への大転換を図った「TIPSTAR(ティップスター、千葉県)」の取り組みを紹介した。この事例から上記5点と照らし合わせ考察すると「場所は店舗型である必要があるのか、電子決済を取り込めないのか、賞品は物品のままでよいのか他の方法はないのか、遊技機の導入方法はメーカーとホール個社との購買契約が基本のままで良いのか他の方法はないのか」など、現状の在り方に改善点を見出していくべく、必要であれば関係各所への陳情・要望を行いつつ、ホール企業同士のアライアンスや、ホール企業とメーカーとの間で相互利益を上げられるような新たな商取引の創造に取り組んでいくことが必要だろうと提案した。

 

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