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令和元年7月度部会を開催しました

七訂版Q&Aバナー

会 場:在日本韓国YMCA アジア青少年センター(東京都千代田区)

来場者:104名

 

 7月9日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/笠井聰夫代表理事・会長)は、東京都千代田区の在日本韓国YMCA アジア青少年センターにおいて、第184回理事会ならびに7月度部会を開催した。今回の部会では2019年10月からの消費税率の引上げをテーマに、井上俊彦税理士事務所の井上俊彦氏(税理士)を講師に招き「消費税の仕組みとその影響について」と題した講演を行った。講演では、消費税制度の基本的な仕組みを説明した上で、パチンコホールの取引をイメージした解説が行われた。また今回の消費税率の改正を機に導入される軽減税率に関する想定事例と留意点を紹介するとともに、4年後から導入される適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)についても説明があった。

 

講演 消費税の仕組みとその影響について
講師:井上俊彦税理士事務所 井上俊彦氏

井上俊彦税理士事務所 井上俊彦氏

井上俊彦税理士事務所 井上俊彦氏

 

 今回の消費税率改正では、これまで一律の税率であったものから飲食料品と新聞、一体資産は軽減税率対象品目(消費税率8%の品目)に指定されたことから、帳簿への記載が煩雑になることや、特に飲食料品に該当するものの線引に関して、現場で混乱が生じる事が予想されているため、本講演ではどのようなケースが飲食料品の取引に該当するのかといった解説が行われた。また2023年10月1日から導入が予定されている適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)についても説明があった。
 講演では冒頭「消費税の法的な位置づけ」として、課税対象、非課税、免税といった取引種目により取り扱いが異なる点をあらためて紹介した。課税対象の要件は「国内において」、「事業者が事業として対価を得て行う」、「資産の譲渡等(売買、貸与、役務の提供)」であり、これをパチンコホール周辺の様々な取引にあてはめた上で、それぞれの取引を解説した。
 その上で今回から導入される軽減税率については、パチンコホールでは「賞品として提供する飲食料品の仕入れは軽減税率の対象となる」と紹介。次に飲食料品の提供において、賞品提供したものを除き「ホール内にあるイートインコーナーでの飲食料品の提供は対象外となる」と説明があった。端的には店内で単純に販売する飲食料品は軽減税率の対象であり、外食等の定義に該当するイートインコーナー向けに販売した飲食料品は対象外ということであった。
 また、この軽減税率の導入後にあわせ、帳簿及び請求書等の記載と保存に関して、仕入税額控除のための要件が設けられた点についても説明が行われた。具体的には消費税が10%の品目と8%の品目が生じるという複数税率となったため、取引品目毎に、その品目が軽減税率の対象であるのか、対象外であるのかを帳簿上で記号等により判別できるようにすることが求められている。請求書に関しても同様に、軽減税率の対象品目であることがわかるよう記号や内訳を記載するなどの処理が求められている、と話があった。
 これら記載方法による帳簿及び請求書の保存期間は2019年10月1日から2023年9月30日までとされている。2023年10月1日からは適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入される。適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となり、この適格請求書を発行できる事業者は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者のみとされている。
 この適格請求書をめぐり井上税理士は「課税事業者以外(免税事業者)からの仕入れは仕入税額控除の対象ではなくなる。劇的な変化をもたらすのではないだろうかと予測する」と述べ、免税事業者は登録を行い課税事業者となるか、課税事業者は免税事業者との取引をどのように扱うようになるのかなど、何かしらの変化が起こってくるだろうとの見解を示した。

 

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